抵抗運動のはじまり
移送作戦が開始された直後の1942年7月23日にゲットー内の地下組織の指導者の会合があった。この席上シオニスト左派諸政党は武装抵抗を主張したが、タダコイ他の出席者は移送されるのは恐らく数万人程度にとどまるだろうと考える者が多く、武装抵抗はかえって全ゲットー住民を危険に晒すとして反対論が相次いだ[13][14][15]。結局7月28日にシオニスト左派諸政党だけで武装抵抗組織「ユダヤ人戦闘組織」(ŻOB)を創設したが、各政党は移送作戦から自らの組織を守ることに手いっぱいで他党と会合を持ってる暇は無く、ユダヤ人戦闘組織も実際的にはほとんど機能せず、移送作戦に対して有効な抵抗はできなかった[16]。
モルデハイ・アニエレヴィッツ
移送作戦が終了した後の1942年10月末、「ハショメル・ハツァイル(en)」リーダーモルデハイ・アニエレヴィッツのもとに改めてユダヤ人戦闘組織が創設された[16][15]。一方右派シオニストの修正主義者たちも独自に武装抵抗組織を立ち上げ、「ユダヤ人軍事同盟(pl)」(ŻZW)を創設した[15]。
本格的に武装抵抗の準備が開始され、ゲットー外から武器を購入するようになる[15]。まず国内軍(AK)などゲットー外のポーランド人レジスタンス組織と接触を図り、彼らから武器を仕入れようとしたが、ポーランド人の間にも反ユダヤ主義は根強く、大金を積んだにも関わらず彼らがくれた物は拳銃10丁だけだった[17][18]。国内軍指揮官たちはユダヤ人に武器を渡してもまともに使えるかどうか極めて怪しいと考えていた[18]。結局ユダヤ人たちはゲットーの外へ抜け出て、ドイツ軍から武器を盗んだり購入したりした仲介人や脱走兵などから巨額の金を払って武器を購入することになった[15][18]。
1942年終わり頃にユダヤ人戦闘組織は、彼らが「対独協力者」と看做していたユダヤ人評議会やユダヤ人ゲットー警察に対するテロ活動を本格化させた[19]。ゲットー警察長官ヤーコプ・レイキンやユダヤ人評議会経済局長イズラエル・フィルストなどを暗殺した。これによりユダヤ人評議会とゲットー警察のゲットー内における威信は大きく低下した[20]。
初の武装蜂起 [編集]
1943年1月9日にSS全国指導者ハインリヒ・ヒムラー自らがワルシャワを訪れた。まだ4万人のユダヤ人がゲットーにいること(実際にはもう少し多くいた)を報告されたヒムラーは、さらに8000人のユダヤ人を移送するよう命じた[21][22]。ヒムラーの命を受けてSS・警察部隊は1月18日から第二次移送作戦を開始した。これにより6500人のユダヤ人が移送され、1171人のユダヤ人が殺害された[23]。
この移送作戦の際にユダヤ人戦闘組織はゲリラ戦による武装抵抗を起こした[20][24]。ユダヤ人レジスタンスはドイツ兵に奇襲をかけては屋根伝いに逃げた[22]。ドイツ兵に数人の死者がでたため[23]、ドイツ当局はゲットー内を安易に動き回る事が出来なくなった[25]。やがて移送作戦は中止された[26][20]。
ゲットーに「革命政権」誕生 [編集]
ユダヤ人戦闘組織の蜂起はこれまで武装抵抗に懐疑的だったゲットー住民からも高く評価された。彼らは第二次移送作戦が最初と比べて小規模ですんだのはドイツ当局が武装抵抗に恐れをなしたからだと考えたのである(実際にはヒムラーがもともと8000人の移送しか命じていないためだったが)[27][28]。
アニエレヴィッツとユダヤ人戦闘組織を支持するゲットー住民は急速に増え、それはゲットー内で一種の「革命政権」となった[27]。一方本来のゲットー行政機関であるユダヤ人評議会はすっかり権威を落としていた。ユダヤ人評議会議長マレク・リヒテンバウムはドイツ当局からの命令に対して「私はもはやゲットー内に何の権威も持っていない。権威を持っているのは別の組織だ。それはユダヤ人戦闘組織だ」と答えている[27]。ユダヤ人戦闘組織はユダヤ人評議会を脅迫してその予算を吐き出させ、またゲットー住民の富裕層に高い税金を課すことで資金を集め、それを武器購入費用にあてた[27]。
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